ボーナス:景気サイクルとNISAの使い方

ボーナスの季節が近づいてくると、サラリーマンの知り合いから様々な貯蓄法の質問を受ける。
今回は、NISAの使い方を確認しておこう。

「NISAってどう使えばいいの?」という素朴な質問を受けることが多い。
今さら言うまでもなく、NISAとは、株式や投資信託等の金融商品に投資をした時の売却益・配当等が非課税になる制度だ。
証券会社に口座を持っている人なら、しつこくNISA口座の開設もセールスされただろう。
どこか1社でNISA口座を開設して、そこで売買すれば非課税の恩恵が受けられる。

2018年現在、非課税枠は年投資額120万円だ。
未成年者(0-19歳)対象の「ジュニアNISA」だと80万円、積立形式の「つみたてNISA」は40万円だ。
0歳児が80万円の投資非課税枠を与えられること自体、怪しげなものを感じるが、ここでは触れない。

さて、NISAをどう使えばいいのか。
もしも、あなたが相場を読む自信がないなら、つまり、マーケット・タイミングが無理と考えるなら、何にも考えず、毎年非課税枠を使い切ったらいい。
また、120万円に対するリターンが非課税になることを小さなことと感じる人も同様だ。
とにかく非課税なのだから、少なくとも配当については税務上のメリットがある。
使わない手はない。

では、ある程度相場を読む自信のある人ならどうだろう。
言い換えれば、市場にはサイクルがあると考えており、今はそのサイクルの後半にあり、株価水準が中央値より高いと推測しているような場合だ。
あなたが株価について高値圏と思っている時、NISAはどう使うべきなのか。

そもそも、NISAとはリターンに対する税金を非課税にしてくれる制度だ。
この効果が最大に発揮されるのは、リターンが大きいものに投資された場合なのだ。
ところが、今後数年でキャピタル・ロスが出るかもしれないと予想する投資家がいたとする。
それでも配当が非課税になるからメリットはあるのだが、本当にそれでいいのだろうか。

今、長期投資しようとしている株式等があって、それが投資期間のうちにキャピタル・ロスを発生する可能性があると思うなら、NISAは第一の選択肢ではないかもしれない。
仮にキャピタル・ロスが実現する場合(=損切りする場合)、NISAでなければ、その損は他の益と通算される。
ところが、NISAだとその効果は得られない。
NISAでの損はNISA以外の益とは通算できない。
(NISA内の益と通算しても、そもそも非課税だから意味がない。)
今が高値圏だと思うなら、NISAを使わないという選択肢も考えるべきだ。

では、NISAの枠を使わずに流してしまうのか。
そうではない。
残った枠は価格変動が少なく、多めの配当が得られるタイプの投資信託(または、存在するなら株式)にあてるという考えもありうる。
悲しいかな、為替リスクのない債券投資信託の利回りは税金を気にしなくていいくらい小さい。
だから、何かのリスクを許容する必要はあるだろう。
ポイントは、何のリスクを許容してリターンを上げるか、そして低い(信託報酬等)手数料率だ。

御幸運を。