【グラフ】東証一部のCAPE

しばらく日本株のCAPEレシオを議論していなかったので、久しぶりに取り上げておこう。
最近の日本株についてCAPE・PERともにそこそこ安定して推移している。

基本的には昨年の分析と変わらない。
全体像はそちらをご覧いただきたい。

東証第1部(単純株価平均ベース)のCAPEとPER
東証第1部(単純株価平均ベース)のCAPEとPER

この範囲で最大のメッセージはサブプライム/リーマン危機前の2006年前後に見られる山だろう。
この動きをもって、日本株においてもバブル的な状況にあったことをCAPEが予想していたとの解釈もありうるかもしれない。

東証第1部(単純株価平均ベース)のCAPEとPER(2007年以降)
東証第1部(単純株価平均ベース)のCAPEとPER(2007年以降)

近時で見ると、アベノミクスの始まった2013年初めにCAPE・PERともに上昇しているが、その後は山谷ありながら小幅に低下している。
7月末のCAPEは16.8倍、PERは16.1倍である。
昨年の同月はそれぞれ20.8倍、18.0倍だった。
株価下落にともなうレシオの低下であった。

間違いなく高くはないが、低いというほどでもない。
超低金利が長く続くと予想するなら、低すぎるように見えるかもしれない。
低成長が長く続くと予想するなら、低くないと見えるかもしれない。

毎度のことだが、日本株のPERは大きな景気後退の前には全く役に立たない。
日本株のPER上昇は、株価の上昇によるものよりEPSの低下によることが多い。
外需依存の強い日本株は、大きな景気後退期EPSをマイナスにしてしまうことも多い。
PERは大きな景気後退+株価下落に対しては予想力がないと考えるべきだ。

CAPEはと言えば、PERよりは状況は悪くないだろう。
しかし、米国株のCAPEでさえ(トレードに利用できるような)市場変動に対する予想力はないとされている。