現金はゴミか?(2)本当の問題はやはり日本円。J-REITは使えるか?

最後に、昨年8月の急落と今年のトランプ関税を見てみよう。

インフレの世界でJ-REITは甦るか?

これらはインフレの時代に起きた急落だった。

TOPIX(黒)、オフィスREIT(赤)、オフィス・商業REIT(緑)(2024年夏以降)
TOPIX(黒)、オフィスREIT(赤)、オフィス・商業REIT(緑)(2024年夏以降)

少し景色が変わったように見える。
一次的な下落はあったものの、その後逆に買われたようにも見える。
仮にこれが今後も繰り返すなら、待機資金の置き場として検討しうるのではないか。

もっとも、REITについては過去4年の弱気相場を脱したかもしれないとの期待の声も聞かれる。
そうした循環的な要因も強く働いているのかもしれないが、この背景にもディスインフレからインフレへの変化が関係しているはずだ。

東証REIT指数(過去5年)
東証REIT指数(過去5年)

どんなショックに対してどの銘柄で備えられるのかを意識する

煎じ詰めれば、当たり前の結論とも言える。
ポイントは

  • 世界がインフレ的かデフレ的か: インフレならREITはそこそこ期待できるだろうし、デフレなら被害が及ぶ。
  • ショックの原因が何か: 不動産に関わるものなら被害が大きくなるが、遠いなら被害は小さい。
  • ショックが甚大か: ショックが甚大なら巻き込まれうるが、そうでないなら持ちこたえるかも。

そもそも本稿の問題意識は、インフレで待機資金が減価するところにあった。
世界がインフレ的であり続ける可能性を気にするなら、待機資金の一部をREITに置いておくことも検討の価値はあるだろう。

REITの中には対TOPIXでのベータがかなり小さな銘柄も多く存在する。
自分が恐れるショックの種類をイメージし、各REIT銘柄の投資対象を意識すれば、意外とスマートな解が見つかるかもしれない。