一部でバズっている物価連動債、みんな本当に理解しているの?(債券投資の基本)

変動金利債・物価連動債は何をヘッジしているのか。

変動金利債・物価連動債のヘッジ機能

次に変動金利債を考えよう。
変動金利債では利率が短期的に変動する。
利率が市場金利に連動している場合、上記のキャピタルゲイン/ロスはほとんど発生しない。

つまり、変動金利債は金利変動がヘッジされていることになる。

最後に物価連動国債だ。
物価連動債では金利や元本がCPIに連動する。
ここで最も単純なフィッシャーの式を思い出すと

 名目金利=実質金利+期待インフレ率

物価連動国債では第2項のインフレに関わる部分だけがヘッジされている。

  • 実質利回り(右辺第1項): 固定
  • インフレ(同第2項): 実勢にそって変動
  • 名目の利率(左辺): インフレ分のみ変動

さて、ここまではほとんどの人が理解できているのだろうと思う。
問題は、この先だ。
いったい私たちは「リスク」という言葉をどのように認識しているのだろう。

金融理論における「リスク」は悪いことばかりではない

金融理論の世界では、国債はリスクフリー(無リスク)資産として扱われることが多い。
国が破綻しかけているのでない限り、国債をリスクフリーとするのは許容可能な近似だろう。
同様に、極めて格付の高い発行体が発行する債券もリスクフリーに近い。
また、信用力の高い銀行の預金もリスクフリーに近い。

ただし、ここでいう「リスク」とは、リターンが変わらないという意味であることを意識しておかないといけない。

名目債(ここでは国債など信用力の高い固定金利の債券を指している)にはリスクはないのだろうか。
実は、ここでも自然言語としての「リスク」は存在している。
それは、上記で

  • 市場金利上昇で損する。
  • 市場金利下落で得する。

とまとめたとおりだ。
名目債に投資した後、市場金利が上下すれば債券の時価も上下する。
これを金利変動にともなうリスクと言わずして何と言うべきだろう。

ここで用いた「リスク」とは、金融理論における「リスク」であり、上下双方向に起こりうるブレを指している。
つまり、リスクがあるから必ず損をするわけではなく、似たような確率で得をすることもあるわけだ。

逆に、変動金利債の場合はどうだろう。
変動金利債の場合は、市場金利が上下しても債券の利率も連動する。
つまり、金利変動にともなうリスクはヘッジされている。

最後に、上記2つの中間ともいえる物価連動債についてはどうか。
物価変動にともなうリスクはヘッジされているが、実質金利の変動にともなうリスクはヘッジされていない。

(次ページ: 名目債と物価連動債の間の選択基準)