【メモ】通貨防衛・資本流出回避を目的とした資本規制の事例

自国通貨の急激な下落、外貨準備の枯渇、資金の国外流出を防ぐために、政府・中央銀行が導入した資金移動制限の事例。
自国通貨建て預金・換金の強制、海外送金・外貨預金・外国為替取引の制限・課税、外貨建て債務の返済停止など、方法は多岐に及ぶ。

ロシア 2022年以降

ウクライナ侵攻以降、資本流出・通貨ルーブル下落に対処するため、ロシア連邦中央銀行が実施。

  • 外貨の引き出し制限: 居住者による銀行口座からの外貨引き出しに上限を設定。10千ドル、または同等金額まで。それを超える分はルーブルでの引き出し。
  • 外国送金の限度額設定: 居住者による外国送金に月間での上限を設定。
  • 非居住者の資産凍結: 非友好国の個人・法人による国外への資産持ち出しを禁止。株式・債券の売却や配当金の受け取りを凍結。
  • ルーブルへの強制換金: 国内輸出企業に対し、輸出で得た外貨収入の一定割合(当初80%、後に引き下げ)をルーブルに換金することを義務付け。
  • 貿易決済にルーブルを強制: 天然ガス(パイプライン経由)を購入する欧州の買い手にルーブルでの決済を義務付け。
  • 金融政策: 2022年の侵攻直後、政策金利を9.5%から20%に緊急引き上げ。為替安定後に段階的な利下げが行われ、2022年末には7.5%に。その後インフレが進み、2024年10月に過去最高の21%へ到達。2025年中盤から利下げし、2026年5月現在は14.5%。

キプロス・ショック 2013年

キプロスの銀行が大量に保有していたギリシャ国債・債権が暴落し、銀行救済のためECB・EU・IMF等の監視・支援の下で行われた資本規制。

  • 銀行の休業: 取り付け・資本逃避の防止のため約2週間銀行を休業。
  • 預金者による負担分担: 100千ユーロ以上の預金者を対象に最大40-60%の残高削減または銀行株への強制転換。
  • 引き出し制限: 1日の現金引き出し上限を300ユーロに設定、小切手の現金化を全面禁止。
  • 個人の現金持ち出し制限: 出国時1人1回1千ユーロまで。
  • 定期預金の解約制限: 原則ロールオーバー。中途解約・他行預け替え禁止。
  • 外国送金制限: 原則禁止。一般の送金は1月5千ユーロまで。貿易等の外国送金は事前承認制。

アイスランドの事例 2008-17年

世界金融危機によりアイスランドで銀行が相次ぎ破綻し通貨クローナが暴落した際、IMFの支援の下講じられた資本規制。

  • 非居住者の資産凍結: 外国人が保有するクローナ建て資産の売却・外国送金を禁止。
  • 居住者の外国送金の禁止: 貿易決済などを除く、証券投資目的等の外国送金を禁止。
  • 外貨収入の強制還流: 輸出企業が得た外貨について中央銀行への売却を義務化。
  • 個人旅行の外貨両替制限: 航空券・渡航証明書の事前提示を義務化。
  • 預金の全額保護: 破綻銀行の国内取引のみを新銀行に移転し、政府が国内預金を全額保護。

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