【データ】円の実質金利が長期側からプラス圏に浮上中

日本の物価連動国債の利回りが長期側からプラス圏に浮上している。
(本稿は、浜町SCI 山田のツイートを編集し加筆したものです。)

3月末時点での最も新しい銘柄(30回債)の流通利回りは0.5%超。
残存6年でもゼロ%になっている。

(データ)物価連動国債の流通利回り推移の時系列データ(月次・暦年・年度)

日銀は先進国の中銀の中でも突出した金融緩和を続けてきたが、近年の金融政策正常化努力によって、徐々にイールドカーブが正常化しつつある。
日銀による日本の潜在成長率の推計値は昨年の第2・第3四半期で0.65%とされているから、潜在成長率との比較においてはあと少しで正常化できることになる。

これは投資家からすれば、物価連動債が日本でも選択肢になり始めていることを意味する。
ある程度長く持つなら、少なくとも価値の保蔵手段としては機能し始めている。
興味のある人は、物価連動債の投資信託がいくつかあるようなので、平均デュレーションを確認(つまりあまり短くないことを確認)の上、検討するとよいかもしれない。
ちなみに、投資信託の基準価格が下がってきていたということは、その原資産である物価連動債の利回りが上昇してきたことの裏返しだ。
下がってきたから悪いのではなく、今後どうなるかが大切であると考えるべきだ。

なお、浜町SCIではブレークイーブン・インフレ率も計算している。

(データ)日本のブレークイーブン・インフレ率(BEI)の推移

これは、債券市場が織り込む将来のインフレ率の実測値とされる数字。
日本のBEIも2%前後に落ち着きつつあるように見える。

以前「一部でバズっている物価連動債、みんな本当に理解しているの?」でも取り上げたが、意外と債券投資をあまり理解していない人も多いようだ。
くどくなるが、インフレの時代だからと言って、物価連動債がバラ色の投資先とは限らない。

例えば残存9年の物価連動債と名目債(固定金利の国債)を比較する場合、9年のBEIが1.9%なので、実際のCPI上昇率が

  • 1.9%より高く推移すれば物価連動債が有利
  • 1.9%より低く推移すれば名目債が有利

となる。

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