【書評】震災復興 欺瞞の構図

現在予定されている震災復興が無駄遣いになると警鐘を鳴らす本。
著者は経済企画庁、大和証券などを経て現在は早稲田大学教授の原田泰氏。

ビジネス感覚に劣る政治家・官僚主導による復興を危ぶんでいる。
阪神淡路大震災後の箱もの開発がゴースト・タウンを生んだ先例を挙げている。
選挙に向けてバラマキに励む政治家、何がなんでも消費税率を上げたい官僚。
それが過大な復興資金予算を生んだとしている。

筆者の主張の特徴は、民主導の復興、消費増税回避による歳出への歯止めだ。
官が投資をするのではなく、民に直接資金を配って、コスト感覚の効いた生活・産業の再生を図れということのようだ。

復興予算が過大なのではないかとの疑問はHSCIも疑念を持ったことがある。
本書はその疑問に具体的に数字入りで答えてくれている。
一方で政府にも根拠があろう。
どちらが真実に近いのか筆者は客観的な物差しを持たない。
しかし、こういう理詰めの反対意見は常に貴重だ。
やや反骨精神が溢れすぎている面も感じられるが、間違いなく必読の書だろう。