【書評】日本のソブリンリスク

「国債デフォルトリスクと投資戦略」という副題がついている。
バークレイズ・キャピタルのクレジット・アナリストとチーフストラテジストによる著書。

この本の手柄は、日本国債の行く末を、
 ・財政健全化の可否
 ・景気の先行き
 ・市場動向
 ・日銀の対応策
という4つのファクターの掛け合わせで占っている点にある。
結果として、ハッピー・エンディングから国債のデフォルトまで、5つのシナリオを用意し、それぞれのシナリオの発生確率を提示している。
さらに、シナリオごとに取るべき対処法を示している。

やや専門的だが、一読の価値のある図書だ。

ただし、やや物足りないと感じたのは、

  • 個々の議論における論拠の厚みが不足
    これは紙幅の制限によるものだろうが、やや飛躍しているように感じるところがある。
  • 対処法が常識過ぎて、創造性に乏しい
    これは著者らがグローバルな金融システムのインサイダーであるためだろう。
    一方、一投資家からすれば、もっと自由度のある対処法があるはずである。