【書評】「データ」で読み解く、安倍政権でこうなる! 日本経済

ミスター円こと榊原英資 青山学院大学教授による著書。

安倍政権は成長戦略ではなく成熟戦略を描けと説く。
国民の豊かさは成長によってばかり得られるものではないとの見方が背景にある。

為替については、あと20年ほどはドルの基軸通貨としての地位が続くとしながら、財政や国際収支などの要因からドル安が進んでいくと指摘。
ユーロ圏も、頻出する問題を根本から根絶できないならユーロ安が継続、場合によってはEUの解体もありうるとする。
一方で、中国の経済は長い目で見て成長を続け、世界の主要通貨はドル・ユーロ・人民元にかわっていくと予想している。

日本の経済・社会が成熟していく中で、中国との関係強化は重要で、東アジアの経済統合を推進すべきとする。
すでに日本はいい位置につけているから、米・豪などが主導するTPPに急いで乗り込む必要はないとの考えだ。

全体として、これまでの著書や発言と同じ趣旨の本になっている。
今まで榊原氏の著書を読んだことがない人にはお奨めの一冊。

一方、すでにファンの方には目新しさのない内容となっているのが残念だ。
「データ」についても、サプライズのあるものとは言えず、指摘の確認のための図表にとどまっているように思う。
この本を読もうと思う人は、何か見たことのないプロットからの発見を熱望しているのではないか。