【解題】浜町SCIやフィナンシャルポインターは財政破綻の終末論者?
日本(法人・個人・政府)による対米投資(事業・証券)に米国が厳しい規制をかけることはありうるか。
可能性は比較的小さいように思えるが、今は《何でもアリ》の世の中だから、油断大敵かもしれない。
(歴史を紐解けば、日本人は米政府による私有財産没収について最も敏感になるべき国民だ。)
日本人が持つ円について、日本政府から対外投資や持ち出しが規制されることはありうるか。
こちらの方が可能性としてはありうるのかもしれない。
日本の姿は、程度こそ違えど、少し前のトルコのエルドアノミクスに似たところがある。
積極財政は続けたいが金利上昇は困るというなら、日銀は十分にインフレ退治・通貨防衛ができなくなるかもしれない。
4月末からの政府の為替介入で見られた通り、ファンダメンタルズの変化なくして円高誘導は難しそうだ。
ちなみにトルコリラは、インフレ率を上回る政策金利と為替介入をもってしても回復に向かっていない。
(政府の純債務対GDP比率は、日本が134%、トルコが21%なのにだ。
インフレの魔物をビンから出してはいけない、と言われるゆえんだろう。)
政府が個人向け国債の商品設計・条件の見直しを進めている。
日本人の資産を国内に留め、政府の資金繰りを安定させようという動きは大いに評価すべきものだ。
日本国債のIRを担当されている人たちは、近年さぞかし困難に見舞われていることだろう。
「責任ある積極財政」については国内からも疑問を呈する向きが多い。
このレトリックを真に受ける外国投資家は少ないだろう。
外国人にとって、円債は投資すべき対象でもあろうが、最近では(バークシャーハザウェイやアルファベットなどの例でわかるように)逆に調達に用いるべき手段にもなっている。
日本国債の利回りが上昇したことは、政府の資金繰りには直接には悪影響を及ぼすのかもしれないが、その分日本国債の魅力が増したのも事実。
それで金利と為替が均衡を見出せるなら、それが自然な解決策だ。
冒頭で述べた通り、日本の財政や通貨が発散することはありえないだろうが、均衡がまだ少し先である可能性は十分ある。
個人向け国債の見直しは良手だ。
しかし、それで安心はできない。
国債保有者が日本人ならば、私たちが心配してきた(財政破綻ならぬ)家計破綻のリスクを保持することになるためだ。
日本国債を本当に安心して買うためには、税引後の実質利回りがプラスにならないといけないが、それはまだ遠い先のように思える。
そこにたどり着くまでには、積極財政が許されないほど財政が窮屈になったり、金融市場で事故が起こったりするのではないか。
結局のところ、財政・金融政策はともに十分には引き締められないだろう。
もしもそうならば、政府は3つの選択肢の中からインフレ税を選択するということになる。
山田 泰史横浜銀行、クレディスイスファーストボストン、みずほ証券、投資ファンド、電機メーカーを経て浜町SCI調査部所属。東京大学理学部化学科卒、同大学院理学系研究科修了 理学修士、ミシガン大学修士課程修了 MBA、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
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